「先生、救急隊から、電話がはいっています!」
一日の診療が終わって、夕食もすんで、くつろいでいる時に、当直のナースから内線です。昼間、診察に来た1歳のアカネちゃんが、痙攣をおこしたとのことです。
まもなく、救急車で運ばれてきたアカネちゃんは、もう、痙攣もなく、眼を開けていて、ややぼんやりした印象です。
ご両親はよほどあわてていたのでしょう。二人とも、パジャマ姿です。
確かに、眼が白目になって、体を硬くして、手足を震わせ、呼んでも反応のないわが子を見たら、動転してしまうのは、当然かも知れません。
診察が終わる頃、アカネちゃんは泣きだし、お母さんを認めると、両手をさしのべています。意識は、はっきりしてきたようです。
救急車がおうちに着いた時には、痙攣はおさまっていたとのこと、痙攣していた時間は1-2分のようです。
痙攣のかたちも、単純型といわれるもので「熱性痙攣でしょう」とお話しました。
<熱性痙攣>
上気道炎などいろいろな感染症による38℃以上の発熱に伴って、痙攣発作をおこすもので、髄膜炎のような中枢神経感染症によるものを除きます。男子に多く、生後6ヶ月から4歳までの間におこることが多いです。発熱のたびに、繰り返すことが多く、大部分は学童期に自然になくなります。
熱性痙攣は良性ということを聞いたのと、お母さんに抱かれて、いつもの様子と変わらないアカネちゃんを見て、安心したのでしょう。
お父さんが、思わず、つぶやきました。
「ああ、よかった。僕、神様にお祈りしちゃったよ。」 体格のいいお父さんがなんだか、かわいく思えた一瞬でした。